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Faunas & Floras Phase2

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2011年 05月 24日

Wake up♯196 ハイイロフユハマキ 2011

Wake up♯196 ハイイロフユハマキ 2011_e0065734_22521547.jpg

「ハイイロフユハマキ 2010-2011 Winter」RICOH Caplio GX8/Photoshop CS2

「昔はフユシャクモドキと言われた」、「かつてフユシャクモドキと呼ばれていた」、ハイイロフユハマキであります。

では、いつ、どのような経緯で「フユシャクモドキ」から「ハイイロフユハマキ」になったんでしょう。
ちょこちょこっとネットで検索してみたけど出てこないので、蛾LOVEさんにお願いして、

ハマキガならこの人!がいすと師匠

にお話を聞きました。(以下、私が噛み砕いて書いてますので、すべて文責は真神ゆ)

「フユシャクモドキですが、1963年の「Tinea」に発表された、川辺 湛さんの論文でハイイロフユハマキに変わりました。
この論文では、保育社と北隆館でフユシャクモドキ(Tortricodes ignavana)として図示されたものは、じつはignavanaとは別の未記載種であることが示されました。
そして、図示されていたこの未記載種を、新種ハイイロフユハマキ(razowskii)として記載されました。
あわせて、もともとのignavanaは、和名新称ウスオビハイイロフユハマキとされました。」


1963年って、昭和38年であります。
初のテレビアニメ「鉄腕アトム」が放送開始され、日米間のテレビ宇宙中継受信実験が成功したと思ったらいきなりケネディ暗殺ニュースが流れてきた年であります。

東海道新幹線が開通し、東京オリンピックが開催されたのは、翌年の昭和39年。

フユハマキの歴史は新幹線より長かったのであります(^▽^;)

というわけで、自分なりにフユハマキの歴史をざっくりと、時系列でまとめてみました。
手元に図鑑現物がないものもあり調べきれてなく、間違いや不足がありましたらぜひお知らせください。

まず、ことの発端(?)となった保育社と北隆館の図鑑から始まります。

1957年(昭和32年)保育社 原色日本蛾類図鑑(上) 初版
1959年(昭和34年)北隆館 原色昆虫大 図鑑 I(蝶蛾篇)初版
Tortricodes ignavana フユシャクモドキ

ここで「学名とその虫のイラスト」が別物だったわけです。
昭和32年は、コカ・コーラが日本で販売開始とか、カラーテレビ実験放送開始とか。
昭和34年は、メートル法施行やら、南極観測隊タローとジローの無事確認やら、伊勢湾台風やら。

1963年(昭和38年)川辺 湛(Tinea , 1963)
Tortricodes razowskii ハイイロフユハマキ記載
Tortricodes ignavana ウスオビハイイロフユハマキ和名新称

1965年(昭和40年)日本周辺のフユハマキはKawabeia属として記載

1971年(昭和46年)保育社 原色日本蛾類図鑑(上)改訂新版 ... では、どうやら反映されなかった

1980年(昭和55年)Kawabeia nigricolor ウスグロフユハマキ記載

1982年(昭和57年)講談社 日本産蛾類大図鑑 初版
Tortricidae Tortricinae Kawabeia razowskii ハイイロフユハマキ
Tortricidae Tortricinae Kawabeia ignavana ウスオビハイイロフユハマキ
Tortricidae Tortricinae Kawabeia nigricolor ウスグロフユハマキ

2003年(平成15年)みんなでつくる日本産蛾類図鑑
Tortricidae Tortricinae Kawabeia razowskii ハイイロフユハマキ
Tortricidae Tortricinae Kawabeia ignavana ウスオビハイイロフユハマキ
Tortricidae Tortricinae Kawabeia nigricolor ウスグロフユハマキ

「みんなで〜」のハイイロフユハマキのページに、【旧名,別名,害虫名,同定ミスなど】 フユシャクモドキ、と記載されているためか、インターネットで検索すると、「フユシャクモドキ」をハイイロフユハマキの「別名」と表記しているサイトがいくつか見当たります。けど上記経緯を踏まえると、これは別名ではなく「旧名」として扱ったほうが無難かも。

2007年(平成19年)北隆館 原色昆虫大圖鑑 第1巻 蝶・蛾篇 新訂版
Tortricodes ignavana フユシャクモドキ

こちらは残念ながら昭和34年のままでございました。。。

なお、2011年に学研より日本産蛾類標準図鑑が順次発刊されていますが、この記事を書いてる2011.9.23現在ではまだ「どっちかっちゅーと大きな蛾」の巻までしか出ていません。フユハマキの仲間は、次の「ちっちぇー蛾」の巻に収録されると思われます。


がいすと師匠、蛾LOVEさん、一寸野虫さん、ありがとうございました☆(^人^)

by Faunas_and_Floras | 2011-05-24 22:49 | 自動販売機/電話BOX/外灯


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