2008年 07月 23日

Test ♯916 Luna Moth Maniax オオミズアオ 2008

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「月光のもと佇むオオミズアオ 2008 June」
Nikon D300/SIGMA 17-70mm F2.8-4.5 DC MACRO/Nikon Capture NX/Photoshop CS2

それは昨年10月に開催された蛾類学会でのことでした。
報告された内容をざっくり要約すると、
「ロシアにあるオオミズアオ(学名:アルテミス)のタイプ標本を調べたら、いままで同じだと思われていた日本のオオミズアオとは違うものだった」
というものです。

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「オオミズアオ 2008 June」
Canon EOS Kiss Digital X/Canon Macro Photo Lens 35mmF2.8/内蔵ストロボ/Photoshop CS2

生物において新種が発見されると、その新種としての根拠となった調査個体が、「タイプ」として指定されます。
昆虫の場合、多くは標本として残すことができますので、「タイプ標本」として保存されるケースが一般的です。(図解の場合もあります。)

たとえば日本の生物では、シーボルトとビュルゲルが、ほ乳類から魚介類まで幅広く、合わせて数千点もの標本をオランダに送り、それらを元にシュレーゲルやデ・ハーンなどの学者が調査し新種であると発表したものが多くあります。
したがって、この経緯で新種とされた種の「タイプ(標本)」はオランダのライデン博物館に行かないと見ることができません。

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「オオミズアオ 2008 June」
Nikon D300/SIGMA 17-70mm F2.8-4.5 DC MACRO/Nikon Capture NX/Photoshop CS2

ではオオミズアオのタイプ標本はというと、ロシアのSt.-Petersbiurgに所蔵されているそうです。
で、その「タイプ標本」をあらためて調べたところ、「あら、オオミズアオよりオナガミズアオに近いじゃん」という衝撃の事実が発覚したワケであります。

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「オオミズアオ 2008 June」
Canon EOS Kiss Digital X/Canon Macro Photo Lens 35mmF2.8/内蔵ストロボ/Photoshop CS2

したがって、これら一連の調査発表をしたDuvatolov,V.V.,Lvovskyi,A.L.&Streltzov,V.N.の論文が提唱する分類に従うとすれば、

☆オオミズアオ本州・四国・九州・対馬亜種は
Actias artemis aliena (Butler, 1879) → Actias aliena aliena (Butler, 1879)

☆オオミズアオ北海道亜種は
Actias artemis artemis Bryk, 1949 → Actias aliena sjoeqvisti Bryk, 1949

と、学名から「アルテミス = 月の女神」の名が消えてしまうことになるんであります。

論文内の提唱に従うなら、ですが。

じつはココがいちばん複雑なトコロで、種の分類方法は「その人の解釈の仕方で決まる」というあいまいさがあるんであります。
AとBは別種だ!と誰かが発表して、多くの人が「確かに」となれば定着し、「えー、それって無理矢理ぢゃなーいー??」と賛同を得られないと、場合によっては消えてゆくケースもあるんであります。

さて、今回のオオミズアオは、どうなるでしょう??

Test ♯850 Luna Moth Maniax オオミズアオ 2008はこちら

Test ♯163「アルテミスという名の蛾」はこちら
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by Faunas_and_Floras | 2008-07-23 22:36 | 自動販売機/電話BOX/外灯


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