2008年 03月 19日

Irregular serial ♯20 フチグロトゲエダシャク捜索隊2008(その3)

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「フチグロトゲエダシャクのメス(その1と同じ個体)」
Canon EOS Kiss Digital X/Canon Macro Photo Lens 35mmF2.8/内蔵ストロボ/Photoshop CS2

今年フチグロトゲエダシャクを観察していて気づいたことをまとめてみたいと思います。

フチグロは昼行性の蛾で、オスが飛翔して翅のないメスをさがして交尾します。
オスがよく飛翔するのは陽射しのある午前中10時くらいから始まり、11時〜正午くらいがピークになります。正午を過ぎても飛ぶ個体がいますが、午前中とくらべるとぐっと数が少なくなり、13時を過ぎて14時になると飛ぶ姿はほとんど見られません。
したがってフチグロの活動は午前中から昼前後までとよく言われます。

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「フチグロトゲエダシャクの交尾(その2のメスの2回目の交尾)」
Nikon D300/SIGMA APO MACRO 150mm F2.8 EX DG HSM/Photoshop CS2

ところが、きどばんさんが、別ポイントの河原を歩いていたら14時過ぎなのにフチグロのオスが飛んできて、目前で交尾をはじめたというレポートをくださいました。
14時!?
こりゃまたずいぶん遅い時間に、と、そのときはみんなで驚いたのでありますが、DX-9さんと観察した15日の土曜日にはさらに遅い時間にもフチグロが交尾活動することを目撃しました。

土曜日に最初に見た交尾は 11:15 頃。でも羽化直後でメスが嫌がったのか、交尾不成立。
で、このメスがコーリングをはじめたのを確認して監視開始。ようやくオスが飛来し交尾に至ったのが 13:35 くらいです。いやーよかったよかった、時間が時間だし、今日はもうダメかと思ったよと二人で安堵し、引き続きこんどはメスの産卵行動観察をはじめました。

と、産卵を撮影していた私たちのそばをオスが横切ってゆきます。
すぐ近くの野バラの茂みにダイレクトに着陸し交尾開始。本日、2組目であります。
時間はなんと 14:45。
というわけで交尾終了を待って、2頭のメスを並べて撮影してみました。
ずいぶん大きさがちがいますねー。全体的な体色や黒みの帯び方にも差があります。

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「産卵するフチグロトゲエダシャクのメス(左がその1、右がその2と同じ個体)」
Nikon D70/TAMRON SP90mm F2.8Di 272E/内蔵ストロボ/Photoshop CS2

ところが2頭のメスの産卵を見ていたら、またしてもオスが飛んできて交尾開始。3組目です。
時間は、15:50 ... !!
正直、ぶったまげました。
要は「メスさがしの飛翔は昼過ぎでやめるけど、メスのフェロモンを感知したら夕方だろうとオスは飛んでゆく」ということのようです。
もっとも、今シーズンは数が少ないがゆえにイレギュラーな交尾時間になってしまった、という可能性も考慮にいれないといけないですね。

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「産卵するフチグロトゲエダシャクのメス(3番目の個体)」
Nikon D70/TAMRON SP90mm F2.8Di 272E/内蔵ストロボ/Photoshop CS2

さて、もうすっかり夕方。
産卵シーンも撮影できたし、そろそろ帰りましょうかと思ったら、なんと2番目のメスが再びコーリングらしき行動を始めているではありませんか。Σ(゚д゚;) オォ!?
そういえば、フチグロの交尾時間って短いんですよね。5分から、せいぜい10分くらいでしょうか。数十分〜数時間コースがあたりまえの蛾が多い中で、圧倒的な淡白さであります。
さすがに夜間の観察は辛いので、コーリングするメスをそっと自宅に持ち帰ることに。

で、翌日曜日に今度は一寸野虫さんと観察再開であります。
我が家で一泊したメスを、前日と同じ場所に戻してあげました。
するとオスが飛来し、11:45 に2回目の交尾をしたのであります。
交尾が終わると、メスは前日同様いそいそと産卵行動をはじめます。
残念ながら私がカゼひいてしまっていて、このあと3回目の交尾を行うのかまではおつきあいすることができませんでした。
これは素人の推測でありますが、

・昼行性で鳥などの天敵が多いため、「長く1回」ではなく「短く複数回」交尾することで天敵に襲われるリスクを減らしている。
・メスは交尾→産卵を複数回繰り返すことで遺伝的多様性を保持している。
・メスは体内にぎっしりと卵をもっているので、交尾→産卵を複数回繰り返さないとすべての卵を受精できない。
・オスはかなり強力な飛翔能力をもっている = 筋肉が発達し、その分「精子のう」が小さく1度の交尾で受精できる量が少ない。
・フチグロの交尾時間が短いだけで、ほかのフユシャクも交尾→産卵を複数回繰り返している。

さて、どうなんでしょうねぇ??

生き物は観察すればするほど、ハテナが増えてゆくであります。σ(^_^;)
(つづく)

Irregular serial ♯19 フチグロトゲエダシャク捜索隊2008(その2)はこちら
Irregular serial ♯18 フチグロトゲエダシャク捜索隊2008(その1)はこちら
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by Faunas_and_Floras | 2008-03-19 06:34 | Irregular serial


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