Faunas & Floras Phase2

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2007年 02月 05日

Test ♯380

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「蜜を舐めるクロチャマダラキリガ」RICOH Caplio GX8/Photoshop CS2

虫のなかで、成虫の姿で寒い冬を乗りきる選択をした種があります。凍らないようゲル状になれる卵や蛹とちがい、体の器官が形成され、なおかつ幼虫時代の身体より複雑な、翅や生殖器など「単純に生きる」だけなら不要な器官まで備えた状態で寒い冬を乗りきるのはたいへんリスクが高いように思えます。
成虫越冬を選んだ虫は、基本的には新陳代謝を超スローな状態にしてよけいなエネルギーを消費しないようにします。ところが越冬キリガたちは、越冬中でも寒い冬の林間を飛び回ります。フユシャクのように繁殖活動をするわけではないのに、なぜ彼らは飛び回り、エネルギーを消費するんでしょう?

時には氷点下にもなる冬に繁殖することを選んだフユシャクたちは、体内で水分が凍結し細胞を破壊しないように、冬に向け体内の水分をグリセリンに置き換えるという話を以前、虫の先輩方から聞きました。
では越冬キリガたちも同様に体内の水分をグリセリンにしているのかというと、どうもそうではないらしいのです。
冬の林で越冬キリガと出会うための「糖蜜」では、黒糖などの蜜と、越冬キリガを香りで誘うため焼酎などお酒を混ぜて林内に散布します。すると、生き物の気配のない林の中から音もなく越冬キリガたちが現れ、一心不乱に蜜を舐めて去ってゆきます。どうも、エネルギーを消費してでも彼らが飛び回るのは、糖分を必要としているからではないかという気がします。

体内の水分が凍結するのを防ぐためには、グリセリンに置き換えるほかに糖分濃度を上げて凝固点を下げる手段もあります。越冬キリガたちは後者を選んだため、糖分濃度を維持するために、蜜の匂いを察知すると吸蜜して糖分の補充をしようとするのではないかという気がしています。

まだ虫たちが本格的な活動をするのは先なのに、マンサクや早咲きの梅が花をつけるのは、メジロなど蜜の好きな野鳥だけでなく、越冬キリガに花粉を媒介してもらうためではないかな、なんて思いました。この時期、テレビのニュースで各地の花の話題が季節の便りとして放映されることが多いですが、じつは夜ひっそりとその花々を支えているのが越冬キリガなんだなー、なんて思い出してみてくださいね(^ ^

【追記】
蛾LOVE師匠から補足をいただきました。
越冬キリガたちは他の越冬昆虫のように、基本的にはエネルギーのロスを避けるためにじっとして寒さに耐えているようです。で、マンサクや梅などが咲き始めるのを待っているわけですね。
ところが糖蜜を散布すると、彼らは糖分を欲していますから、その匂いに誘われて蜜を舐めに飛んでゆく、ということのようです。種や地域にもよりますが、真冬で雪が降るなかでも糖蜜でキリガが飛来することがあるそうですので、単純に「腹が減ったから」だけではなく、身体の凍結防止のためにも彼らは蜜を求めるんじゃないのかな、と感じた次第です。
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by Faunas_and_Floras | 2007-02-05 00:22 | 自動販売機/電話BOX/外灯


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